迷光亭冬雀日記

思いつくまま、気の向くまま。行く先もわからぬまま。

愛の近似値

どれだけ思いをつのらせたところで、彼女に対して私が抱いているこの感情は、愛情と呼ぶのにはふさわしくないのだろう(少なくとも彼女は私の思いを「愛」とは信じてくれなかった)。

しかし、私の生きてきた年月の間に、自分自身よりも愛おしいと心から思えるような存在は彼女が唯一なのだ。この恥知らずにも「自分大好き人間」であることを自他ともに認める私が自分を捨ててでも、と思いつめるほど愛おしさが込み上げてくる、社会正義よりも世界平和よりも、なによりも彼女の幸福を願わずにはいられない唯一無二の存在、それが彼女なのだ。

だから、そこまで自分自身(のみ)の中で強まってしまった思いは、当然彼女にストレートにぶつけてしまったら「愛」というより「暴力」となる。…そんな最悪な真似をしてしまったのだ、私は。

ごく当たり前の結果として、「もう無理」とのLINEを送ってきて、彼女は去った。

あれから一年たとうとしているが、今も彼女のことを思わない日は1日とてない。

繰り返し自分に言い聞かせることは、『「愛」とは「思い」の強さに付けられる名前ではなく、ふたりのあいだの「関係」の深さを呼ぶ名前』だということ。もう彼女に会えないという、半身もぎ取られるような苦しみの中で得た教訓だ。「私の思い」は「愛」ではなく、その近似値だった。

にもかかわらず、彼女を未だに思い続けている私は、この「近似値」を心の杖として生きていくよりほかにないのだ。未練たらしいことこの上ないのだが自分でもどうにもならない。

人様から言われるまでもない、自分で言う。俺はバカだ。

ちょっとカッコつけて言うと“Lovefool”。

また今夜もなかなか寝付けないから、こんなことを書いちゃったよ…。