迷光亭冬雀日記

思いつくまま、気の向くまま。行く先もわからぬまま。

印刷屋の息子は電子書籍の夢を見るか?

 …と、件名はご大層だが、電子書籍や本、書き言葉にかんする、ただの雑記なので、御用とお急ぎでない方は気楽に読んでください。

 

 ①我が一家は、祖父とその兄弟から、それぞれ印刷屋を営んでおりました。本来ならば、私で3代目になるのですが、父の代で、零細の印刷屋を続けるのにも限界だ、となり11年前に自主廃業・会社清算しました。しかし、私の中には、「印刷屋スピリッツ」なるものがいまだ継承されており、例えば、会社で大量コピーを指示されたりすると、血が騒ぐのです(笑)。良くも悪くも「印刷屋の息子」というアイデンティファイを自らおこなっているのです。

 で、なんですが、零細の印刷屋というものは、祖父や父の働く姿を間近で見る限り、大変な労力を必要とすることが分かります。父は、甘ったれでひ弱な幼い私をみて、「こいつには印刷の仕事は、向かない」とかなり早く(私は小学生くらいだったか)判断し、学歴をつけて、勤め人を目指すように教育方針を定めました。

 以降、かなりの紆余曲折を経て、中学、高校、大学へと進学するのですが、こころの病のため大学は中退に終わり、父を落胆させることとなるのです。

 しかし、父よ、あなたのこころづかいは無駄には終わっていない。

 中退とはいえ、大学まで進んだことにより、私には「教養」を身につける機会ができたのです!(あ、今、笑ったの誰?)印刷屋という出版文化を底辺で支える身分から、「読書人階級」までに、あなたの息子は登りあがったのです!(はい、ここは笑ってくれてもいいです)

 …とこんなことを思いながら、iPadKindle電子書籍読んでると、感慨ひとしおなのです。あぁ、もはや本は、印刷すら必要としないのだなぁ、とかね。

 

 ②「電子書籍元年」と日本で言われるようになって2~3年、なんか毎年のように「元年」と繰り返されてる感じもするが、いよいよ、今年こそ本格普及するのかなぁ?

 でもね、私、電子書籍の致命的欠陥に気付いてしまったのです、しかも、2つも!

 

 

 欠陥その1:「ねー、今話題のさー、あの本読んだー?」「あっ、その本読んだ!今度貸すよ!」「ホントにー?ありがとー!」的な、ほのぼのとした、本の貸し借りができない。電子書籍だと、端末ごと貸さなきゃいけないもんね…。

 

 欠陥その2:読み終わった本を、ブックオフに売れない。

以上、2点。むむむ、これはなかなか参入障壁としては、ハードル高いのでは?それとも、技術的に解決できるのでしょうか?むむむ。

 

 ③先日、国立劇場・小劇場で、邦楽演奏会を鑑賞してきた。唄のついているものが多かったのだけれど、この「うた」が、日本語のはずなのに頭の中に入ってこない。

これは困ったな、と思っていると、舞台のはじに字幕が投影されているのに気がついて、これ幸いとチラ見しながら聴いていると、あら不思議、すんなり頭に「うた」が入ってくる、意味がわかる。良かった良かった、で済めばいいけれど、これってよくよく考えてみると、私がいかに耳で聴いた「はなしことば」では無く、目で字を追う「書き言葉」に慣らされてしまっているんだろうか、ということなんだよね。

 SNSやブログは、基本「書き言葉」の世界だから、「活字離れ」なんて話はどこの話か、っていうくらい現代は「文字」の大量消費時代なんだよなぁ。

 目も耳も、匂いや触感もフルに活用しないと、イメージするちからは衰退しちゃうのかなぁ。

 あと、文字は文字でも、「書(しょ)」の世界も、ここ何年も人気でしょう?これって、やっぱり、気づいてる人は気づいてるってことなのかも?(『王羲之展』観とけばよかったなー)

 

以上、お題は3つ。本日、これにて。お代は頂きませんが、よかったら「いいね!」してくださいませ。おそまつさま。